呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「アレシュ様。ここで帝国の悪口を言うのは、やめてくださいよ。こっちは数の上では、不利な状況なんですから」
「わかってる。今日は第二皇女の誕生祝いで、招待されたんだ。ケンカを売る気はない」
「仲良くしようという話ではないと思いますが……」
「だろうな」

 こっちにも思惑があるように、向こうは向こうで思惑がある。
 カミルの視線の先にいたのは、レグヴラーナ帝国の皇子ラドヴァンだった。
 黒髪に青い目をし、本心を心の奥に隠す冷たい印象の男。
 黒い服に深い青のマント、銀の装飾品をつけ、金と赤を主としたものを身に着けた皇帝陛下より、自分が目立たぬよう気を配っている。
 ラドヴァンは俺と同じ年齢で、父親の補佐官を務める真面目な王子だ。
 お互い他国の社交の場で、何度か会ったことがある。
 
「アレシュ様と正反対ですね」

 招待客に丁寧な挨拶をするラドヴァンを見て、カミルがそんな感想を述べた。

「ドルトルージェ王国第一王子アレシュ殿下。ようこそ、レグヴラーナ帝国へ」

 嘘くさい笑顔を浮かべ、ラドヴァンが近づいてくる。
 俺も笑顔を見せるが、お互い腹の中では殴り合いの戦闘状態。

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