呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 慎ましい性格らしく、男性を不用意に近づけないよう気を付けているようだ。
 花を触れてないほうの手で渡す。

「あなたは兵士じゃありませんね。そして、レグヴラーナ帝国の人間ではなく、他国の方」

 鉄格子近くに寄ったからか、彼女は違和感に気づいたようだ。
 ここまで来るまで、誰も気が付かなかったと言うのに、農業や薬草の知識だけでなく、勘もいいようだ。

「バレてしまいましたか」
「異国の香りがします。爽やかな木の香りですね」
「香木です」
「香木? 香水とは違うのですか?」

 興味津々に食いついてきた。

「そうですね。香炉を使い、香りを出します」
「まあ……。香炉……」

 見たこともないのか、しばらく思案していた。
 その仕草も可憐で可愛らしい。

「名残り惜しいですが、そろそろ戻らなくては」
「そうですね。忍び込んだのが、お父様たちに知られては、大変なことになりますわ。気を付けて下さいね。スパイさん?」
「怖がらないとは、不思議な方だ」
「私に危害を加えることは誰もできませんから」
「なるほど」

 この鉄格子があるから、安心という意味なのだろうか。
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