呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 お兄様はため息をつき、侍女に椅子と本を持ってこさせる。
 私に逆らえば、お父様の怒りを買うとお兄様はわかっているから、絶対に逆らわない。
 窓辺で本を読むお兄様を見る。
 その手には、以前、お姉様のために持っていった本と同じものだった。

 ――まだ自分も読んでなかったのに、お姉様に先に読ませてあげようとしていたんだわ。

 お兄様が家族の中で心を許していたのは、お姉様だけ。
 優秀なシルヴィエお姉様。

 ――幼い頃から、私が欲しいと望んでいたもの。それは、シルヴィエお姉様が全部持っていた。

 呪われているということを除けば、完璧な皇女だった。
 持って生まれた才能なのか、お姉様は芸も学も多才で、少し教えられただけで覚えてしまう。

『弦をはじき、ハープを奏でたら、小鳥が集まり、花が咲いたそうですよ』
『それに比べて、ロザリエ様は楽器の演奏はさっぱりですね』

 お姉さまから楽器を奪っても、次は歌で周囲を魅了し、私が音痴だと、陰口を叩かれた。

『シルヴィエ様は好奇心旺盛でいらっしゃる。政治、農業、医療にまで興味がおありだ』
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