呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 お兄様は一度も振り返らず、去っていった。

「どういうこと? 私はどこへ嫁ぐの?」

 それを教えてもらえなかったのは、残念だけど、お兄様の言い方だと、私は帝国の外に嫁ぐようだ。

「帝国の外に私が出てもいいなんて、夢みたい! 本当によろしいのかしら!?」

 今まで、ほとんど人前に出ることなく、隠されて育てられ、ロザリエの事件で幽閉された。
 そんな私が帝国の外へ出られる!
 どんな方に嫁ぐかわからないけれど、呪いの力があるかぎり、私に危害を加えられない。
 いわば、私は無敵状態。 

「でも唯一、私が気を付けなければいけないのは、旦那様ですよね。触れたら死んでしまうかもしれませんし……」

 旦那様を殺さないよう気を付けないと、また帝国へ連れ戻されてしまう。

「結婚式までに、もっと勉強して、役に立つ人間にならないと!」

 有能な妻であれば、私の呪いを打ち明けても実家へ帰すなんて言わないかもしれない。
 私は帝国から出られることばかり考えていて、お兄様が見せた苦痛に満ちた顔をすっかり忘れていた。
 幽閉されている私は、皇宮内の事情をまったくわかっていなかった。 
次期皇帝であるはずのお兄様。
 そのお兄様が、お父様から冷遇されていると、気づいていなかったのだった。
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