呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 ――帝国から出られるのは嬉しい。でも、あの人にもう一度会いたかったと思うのは、なぜでしょうか。

 白い花を手にした私が、ここが荒れるのを悲しんでいるとハヴェルは思ったらしく。

「ご心配なく。他の庭師にも声をかけて、この小さな農園を引き続き、育てていくようにします」

 そう言ってくれた。
 兵士たちは鼻をすすりながら、私に尋ねた。

「それで、シルヴィエ様の嫁ぎ先は、どこの国に決まったのですか?」
「ドルトルージェ王国です」

 全員が黙り込んだ。
 敵国ドルトルージェに、呪われた皇女を嫁がせる意味は、ただひとつ。
 
「暗殺ですか……」
「それでは、敵国の王子を殺したら、シルヴィエ様は捕まり……」
「もちろん、処刑されるでしょう。でも、私は暗殺などするつもりはありません」

 私の言葉に、兵士たちはホッと胸を撫で下ろし、そして複雑な表情を浮かべた。
 皇帝陛下の命令に従わず、私がここへ戻った場合、処刑に近い待遇が待っている。
 結婚しても、触れることのできない妻。
 そんな結婚に幸せを望めるかというと、まず無理だろうと誰もが思った。

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