呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「じっとしていても、やることがない。退屈だ。ヴァルトル、先に行け」

 腕を前に出すと、ヴァルトルは翼を広げ、矢のように真っ直ぐ飛んで行った。
 なにかあれば、戻って来るだろう。
 (うまや)に行くと、いつでも馬を出せるよう準備されていた。
 落ち着きのない主をわかっているのか、馬は俺の姿を見るなり、出かけられるとわかって喜ぶ。

「アレシュ様。馬が走らせてほしがってましたよ」

 茶色の滑らかな毛をした俺の馬は、昔からいる厩番(うまやばん)が世話をしている。
 馬だけでなく、俺の性格も把握している腕のいい厩番だ。

「いつも悪いな」
「アレシュ様の馬は、主に似て活動的ですから、走らせてやったほうが、馬も喜びます」
「主と一緒で、体力が有り余って手におえないということですよ」
 
 そう言ったカミルの馬も、俺の馬同様に用意されている。
 だが、俺のほうが早い。
 ごちゃごちゃ言っているカミルを待てず、置いて先に出る。

「あっ! 待ってくださいよ!」

 ドルトルージェ王都へ向かうシルヴィエ皇女の隊列を目指して、駆け出した。
 隊列はすでに王都の手前までやってきている。
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