呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 レグヴラーナ帝国の紋章付きの馬車が、隊列中央にいるのが見えた。
 すでに上空には、先に向かわせたヴァルトルが飛んでいる。
 空から俺の姿を見つけたヴァルトルが、滑るように空から降りてきて、戻ってきた。

「ヴァルトルを普通の鷹だと思っているようだな」

 護衛の兵士たちは、空に目を向けておらず、隊列を乱すことなく、ただ前を進む。
 光の神だけを信仰する帝国は、他の神々を追い出し、古い伝承の数々を消した。
 帝国だけでなく、領土を広げるため、各国はこぞって、神々との約束を忘れて、今では古い神々を残し、教えを守っているのは、ドルトルージェ王国だけになってしまった。

「古い物語を捨てるから、血を流すことになったのだ」

 ドルトルージェに残る記録では、レグヴラーナ帝国はおとぎ話も言い伝えも許さず、徹底的に光の神以外の神々の物語を国中から消した。
 その多くの物語を燃やす火は、やがて他国を焼く炎に変わったという――

「ドルトルージェ王国とレグヴラーナ帝国は真逆の道を進んだな」

 領土を広げたが、戦費に苦しむレグヴラーナ帝国と小国のままだが、着実に繁栄しているドルトルージェ王国。
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