呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 帝国側の策略にじわじわと追い詰められているとは、誰もまだ知らない。
 
 ――早くアレシュ様にお伝えしなくては!

 せめて、窓から出られるのであれば――視線を走らせた。
 庭へ通じる窓、部屋の前に護衛と称した監視の兵士がいて、私のそばには侍女がいる。
 手袋をはめた手、室内であってもヴェールに覆われた顔。
 幽閉生活の時より、自由はなくなっていた。
 
「窓を開けましょうか」
「暑いわね」

 侍女たちは羊毛で作られた生地のドレスを着ている。
 長袖で、腕を隠し、首までぴっちりしているものだ。

「ドルトルージェ王国は南方にあるから、帝国のドレスでは合わないのですよ。こちらの布を使って、仕立てたらどうでしょう?」
「シルヴィエ様。帝国を離れても、帝国を忘れてはなりません!」
「そうです。ドレスは帝国のものが一番です!」

 動かない私はいいけれど、侍女たちは忙しなく動いている。
 ここにドルトルージェ王国の人間を入れないとなると、なんでも自分たちでやらなくてはいけなくなるからだ。
 窓が開き、涼しい風が入ってきた。

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