30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
☆☆☆

デスクに戻ってからもさっきの大翔の顔を忘れることができなくて、ついぼーっとしてしまう。
いつもならすぐに突っ込んでくる麻子は今仕事に集中していて、誰も美加の異変を咎めることがなかった。

コーヒーのこと覚えててくれた。
それは素直に嬉しかった反面、美加は大翔が自分のこと『君』と呼んだことを気にしていた。

顔は覚えているけれど、やっぱり名前までは覚えてくれていなかったんだろう。
仕方ないけれど、やっぱり胸の奥がチクリと痛む。

好きな人にはちゃんと認識してほしい。
それなら……。

美加は仕事をしている麻子へ視線を向けた。
麻子が考えてくれたラブハプニング大作戦で、まずは私のことを認識してもらう。

それが1番いいのかもしれない!

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