レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
その金額設定からして、貴族や豪商を客にするつもりなのだろう。しかし現在、王国は寒冷化による領海内の流氷の増加が原因で入港料が稼げなくなり漁獲量も減り、国全体が貧困に傾きつつある。
上流貴族であっても簡単には出したくないであろう金額で、一夜限りの機会を買う者が幾人もいるとは考えられなかった。
父王が、暴食で丸くなった顔をゆがませて、尊大な口調で話し出す。
「銀糸がごとく輝く髪に、黄金色の瞳……。世界中を虜にした貴様の母親、その生き写したる貴様の容姿であれば、味見してみたいと願う者はごまんといる。それこそ国外にもな。貴様は公務もせずに遊びほうけておる悪女として名高いが、美しさだけは悪行に勝るとも知れ渡っておる。ゆえに、愚かで物事の判断もできぬ民であっても、我が妙案に納得するだろうよ」
得意げに繰り出される説明に、大臣たちが『さすが陛下』と言わんばかりの尊敬のまなざしを向ける。自分たちの主君の偉大さを誇るかのように胸を張った。
そんな臣下たちの態度を眺め渡した父王が、満足げな笑みを浮かべて言葉を継ぐ。
「当初は客先に出向かせる予定だったが、そのまま誘拐されるおそれを考慮し、王城に客を招くことにした。わが厚情に感謝するのだな。初回の客はひと月後だ。準備は抜かるなよ」
「……。……かしこまりました」
絶望感に締め上げられた喉からやっとの思いで返事を絞り出す。
ノツィーリアは父王に深々と頭を下げると足早に玉座の間をあとにした。
上流貴族であっても簡単には出したくないであろう金額で、一夜限りの機会を買う者が幾人もいるとは考えられなかった。
父王が、暴食で丸くなった顔をゆがませて、尊大な口調で話し出す。
「銀糸がごとく輝く髪に、黄金色の瞳……。世界中を虜にした貴様の母親、その生き写したる貴様の容姿であれば、味見してみたいと願う者はごまんといる。それこそ国外にもな。貴様は公務もせずに遊びほうけておる悪女として名高いが、美しさだけは悪行に勝るとも知れ渡っておる。ゆえに、愚かで物事の判断もできぬ民であっても、我が妙案に納得するだろうよ」
得意げに繰り出される説明に、大臣たちが『さすが陛下』と言わんばかりの尊敬のまなざしを向ける。自分たちの主君の偉大さを誇るかのように胸を張った。
そんな臣下たちの態度を眺め渡した父王が、満足げな笑みを浮かべて言葉を継ぐ。
「当初は客先に出向かせる予定だったが、そのまま誘拐されるおそれを考慮し、王城に客を招くことにした。わが厚情に感謝するのだな。初回の客はひと月後だ。準備は抜かるなよ」
「……。……かしこまりました」
絶望感に締め上げられた喉からやっとの思いで返事を絞り出す。
ノツィーリアは父王に深々と頭を下げると足早に玉座の間をあとにした。