レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
(なぜそのような扱いを……!?)
思いも寄らない光景に、びくりと肩が跳ねる。
ノツィーリアが驚きに固まっていると、長い睫毛に縁取られた目蓋が押し上げられ、その陰から現れた赤い瞳が温かな光を宿した。
その輝きと同じくらいの優しい声で、薄く開かれた唇が言葉を紡ぐ。
「……。……そなたは、この期に及んで他者の心配をするのだな」
「これは母の言い付けであって、私自身の発想ではないのです。母は私が幼い頃、何度も私に言い聞かせてくれました。『王族たるもの、誰に生かされているかを常に心に留めておかなければいけないわ。それを忘れて滅びた国をいくつも見たことがあるの』と」
「なるほど。その目で世界を見てきた踊り子の言葉は、重みが違うな」
「母を御存知なのですか!?」
まさかルジェレクス皇帝がノツィーリアの母親を知っているとは思いも寄らず、声が大きくなってしまった。
ノツィーリアの銀髪から名残惜しげに手を離した皇帝が、表情を和らげて頷く。
「かつて我が帝国にも、そなたの母君の所属するキャラバンがやって来たことがあるのだ。そのとき余は四歳であったゆえ事細かな記憶はないのだが、心躍る光景であったこと自体ははっきりと憶えておる。そなたの母君は我が国では伝説となっておるのだよ。我が国民は、誰もが今でも伝説の踊り子を語り継ぎ、憧れを抱き続けておる」
「まあ、そうなのですね……!」
思いも寄らない光景に、びくりと肩が跳ねる。
ノツィーリアが驚きに固まっていると、長い睫毛に縁取られた目蓋が押し上げられ、その陰から現れた赤い瞳が温かな光を宿した。
その輝きと同じくらいの優しい声で、薄く開かれた唇が言葉を紡ぐ。
「……。……そなたは、この期に及んで他者の心配をするのだな」
「これは母の言い付けであって、私自身の発想ではないのです。母は私が幼い頃、何度も私に言い聞かせてくれました。『王族たるもの、誰に生かされているかを常に心に留めておかなければいけないわ。それを忘れて滅びた国をいくつも見たことがあるの』と」
「なるほど。その目で世界を見てきた踊り子の言葉は、重みが違うな」
「母を御存知なのですか!?」
まさかルジェレクス皇帝がノツィーリアの母親を知っているとは思いも寄らず、声が大きくなってしまった。
ノツィーリアの銀髪から名残惜しげに手を離した皇帝が、表情を和らげて頷く。
「かつて我が帝国にも、そなたの母君の所属するキャラバンがやって来たことがあるのだ。そのとき余は四歳であったゆえ事細かな記憶はないのだが、心躍る光景であったこと自体ははっきりと憶えておる。そなたの母君は我が国では伝説となっておるのだよ。我が国民は、誰もが今でも伝説の踊り子を語り継ぎ、憧れを抱き続けておる」
「まあ、そうなのですね……!」