レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
「ルジェレクス皇帝陛下。国王たちの処遇は、どうなさるおつもりなのでしょうか」
「様子を見てみるか?」
「えっ?」
意外な返答にノツィーリアが目を見開いていると、皇帝がサイドテーブルに手を伸ばし、絵はがき程度の大きさのガラス板を取り上げた。
そこには牢屋を見下ろす角度の絵が描き出されていた。映るのは、うなだれる父王と青ざめた王妃そしてディロフルア。妹だけが、この期に及んで怒り心頭といった真っ赤な顔をして、鉄格子をつかんで外に向かって叫んでいる。
「まとめて地下牢に放りこんである。そなたを苦しめていたメイドたちもな」
「彼らは……処刑されるのですか」
「そなたが望むのであれば、すぐにでも」
そう言って視線を返してくる瞳は、瞬時に全身が凍りついてしまいそうなほどの冷酷さを帯びていた。決して容赦はしないとその眼光が告げている。ノツィーリアが頷けば、ただちに皇帝から命が下され、牢の中で断罪が行われるのだろう。
「処刑なんて、そんな……」
「そなたの扱いはユフィオルトから聞いておる。奴らが憎かろう?」
「私が彼らから虐げられてきたのは事実です。しかし彼らを処したところで母は喜びませんし、私もそれを望みません」
ノツィーリアの言い分を、ルジェレクス皇帝は真剣な顔をして聞いてくれている。
「私はただ、レメユニール王家の失脚により、国民が路頭に迷うことがなければと存じます」
自分が要求できる立場にないことは理解していても、口にせずにはいられなかった。
これだけは、引き下がるわけにはいかない――。背筋を伸ばし、無理やりにでも自身を奮い立たせて皇帝を見据える。
すると、ガラス板を元の位置に戻したルジェレクス皇帝が、無言で手を差し伸べてきた。
その意図が分からず警戒した体が、瞬時に強張る。固唾を呑んで様子をうかがっていると、近づいてきた手がノツィーリアの銀髪を一束すくい上げた。
目を伏せた皇帝が、そこに唇を寄せる。
「様子を見てみるか?」
「えっ?」
意外な返答にノツィーリアが目を見開いていると、皇帝がサイドテーブルに手を伸ばし、絵はがき程度の大きさのガラス板を取り上げた。
そこには牢屋を見下ろす角度の絵が描き出されていた。映るのは、うなだれる父王と青ざめた王妃そしてディロフルア。妹だけが、この期に及んで怒り心頭といった真っ赤な顔をして、鉄格子をつかんで外に向かって叫んでいる。
「まとめて地下牢に放りこんである。そなたを苦しめていたメイドたちもな」
「彼らは……処刑されるのですか」
「そなたが望むのであれば、すぐにでも」
そう言って視線を返してくる瞳は、瞬時に全身が凍りついてしまいそうなほどの冷酷さを帯びていた。決して容赦はしないとその眼光が告げている。ノツィーリアが頷けば、ただちに皇帝から命が下され、牢の中で断罪が行われるのだろう。
「処刑なんて、そんな……」
「そなたの扱いはユフィオルトから聞いておる。奴らが憎かろう?」
「私が彼らから虐げられてきたのは事実です。しかし彼らを処したところで母は喜びませんし、私もそれを望みません」
ノツィーリアの言い分を、ルジェレクス皇帝は真剣な顔をして聞いてくれている。
「私はただ、レメユニール王家の失脚により、国民が路頭に迷うことがなければと存じます」
自分が要求できる立場にないことは理解していても、口にせずにはいられなかった。
これだけは、引き下がるわけにはいかない――。背筋を伸ばし、無理やりにでも自身を奮い立たせて皇帝を見据える。
すると、ガラス板を元の位置に戻したルジェレクス皇帝が、無言で手を差し伸べてきた。
その意図が分からず警戒した体が、瞬時に強張る。固唾を呑んで様子をうかがっていると、近づいてきた手がノツィーリアの銀髪を一束すくい上げた。
目を伏せた皇帝が、そこに唇を寄せる。