レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
「ノツィーリア姫。昨晩は……しつこく抱き続けてしまってすまなかった」
「いえ、優しくしてくださって……けほっ」
慌てて口を押さえてせきこむ。思いの外、喉が渇いていたのだった。
顔を背けて咳を繰り返していると、温かな手に抱き寄せられて、背中をさすられた。
「声が少し掠れてしまっておるな」
そっと背に手を添えられて、慎重に起き上がらせられる。
その動きで肌掛けがずり落ち、素肌をさらしてしまいそうになる。ノツィーリアが肌掛けを引き寄せて肌を隠す隣で、皇帝がサイドテーブルに手を伸ばした。
そこに用意してあった水瓶からグラスに水を注ぎ、手渡してくれる。
「ありがとう、ございます……」
自分でも驚くほどに弱々しい声で礼を告げてから、そっとグラスに口を付ける。
ゆっくりと水を飲み進めていると、皇帝が脱ぎ捨ててあった自分のガウンを拾い上げて肩に掛けてくれた。
ガウンの表面を滑る手が、今度は髪を撫ではじめる。その優しい手付きに心がときめく。
すぐそばからじっと見つめてくるまなざしが、熱を帯びている。ノツィーリアがそわそわと落ち着かない気分で水を口にしていると、皇帝がため息をついた。
「そなたの歌声、そして私の腕の中で舞い踊る姿、実に美しかった……」
「!? げほっげほっ」
信じがたい言葉の数々に動揺して水を噴き出しそうになってしまった。喉の変なところに水が引っ掛かってしまい、口を押さえて咳を繰り返す。
「おかしなことを言ってすまない……! ともすればつい、昨晩のことを思い出してしまうのだ」
咳の収まったノツィーリアが振り向くと、皇帝は顔を真っ赤にしていた。
その赤みがうつってしまったかのように、ノツィーリアの頬にも熱がこもる。
「いえ、あの、……本当にありがとうございます、親切にしてくださって。でも、どうして初対面の私をこのように厚遇してくださるのですか」
「初対面……そうよな、対面したのは昨晩が初めてではあるが……。余がそなたについて初めて耳にしたのは十七年前、そなたの母君の葬儀の際だ。そなたは六歳という幼さにもかかわらず『涙をこらえ、凛と前を見据えていた』と、葬儀に参列した父上が話していた」
「そ、そうなのですね……」
いきなり子供の頃の話をされて、ノツィーリアは面食らってしまった。
その反応に、ルジェレクス皇帝がたちまち気まずげな表情に変わる。
「いえ、優しくしてくださって……けほっ」
慌てて口を押さえてせきこむ。思いの外、喉が渇いていたのだった。
顔を背けて咳を繰り返していると、温かな手に抱き寄せられて、背中をさすられた。
「声が少し掠れてしまっておるな」
そっと背に手を添えられて、慎重に起き上がらせられる。
その動きで肌掛けがずり落ち、素肌をさらしてしまいそうになる。ノツィーリアが肌掛けを引き寄せて肌を隠す隣で、皇帝がサイドテーブルに手を伸ばした。
そこに用意してあった水瓶からグラスに水を注ぎ、手渡してくれる。
「ありがとう、ございます……」
自分でも驚くほどに弱々しい声で礼を告げてから、そっとグラスに口を付ける。
ゆっくりと水を飲み進めていると、皇帝が脱ぎ捨ててあった自分のガウンを拾い上げて肩に掛けてくれた。
ガウンの表面を滑る手が、今度は髪を撫ではじめる。その優しい手付きに心がときめく。
すぐそばからじっと見つめてくるまなざしが、熱を帯びている。ノツィーリアがそわそわと落ち着かない気分で水を口にしていると、皇帝がため息をついた。
「そなたの歌声、そして私の腕の中で舞い踊る姿、実に美しかった……」
「!? げほっげほっ」
信じがたい言葉の数々に動揺して水を噴き出しそうになってしまった。喉の変なところに水が引っ掛かってしまい、口を押さえて咳を繰り返す。
「おかしなことを言ってすまない……! ともすればつい、昨晩のことを思い出してしまうのだ」
咳の収まったノツィーリアが振り向くと、皇帝は顔を真っ赤にしていた。
その赤みがうつってしまったかのように、ノツィーリアの頬にも熱がこもる。
「いえ、あの、……本当にありがとうございます、親切にしてくださって。でも、どうして初対面の私をこのように厚遇してくださるのですか」
「初対面……そうよな、対面したのは昨晩が初めてではあるが……。余がそなたについて初めて耳にしたのは十七年前、そなたの母君の葬儀の際だ。そなたは六歳という幼さにもかかわらず『涙をこらえ、凛と前を見据えていた』と、葬儀に参列した父上が話していた」
「そ、そうなのですね……」
いきなり子供の頃の話をされて、ノツィーリアは面食らってしまった。
その反応に、ルジェレクス皇帝がたちまち気まずげな表情に変わる。