現れたのは聖竜様と予想外の溺愛でした
気味が悪い、と評されたのは子供の頃からだった。
クラスの花形でスポーツ万能な子どもは見事な速さでゴールテープを切り、歓声と拍手でクラスメイトに迎えられる。
お調子者のムードメーカーが、当時流行っていたお笑い芸人のモノマネで、クラス会を沸かせるのは日常だ。
担任が休みで自習になった1時間、はしゃぐクラスメイトを他所に、教室の隅で黙々と指定のワークブックを進めて終業後に提出すれば、代理の教師がぱらりと中身を見て顔を引き攣らせたのだ。

「うわ、全部終わってる」

言われた通りに自習していたのだから、手放しで褒められはしなくとも貶されはしないだろうという予想は、あっけなく崩れ落ちた。
子どもは大人の表情に敏感だ。
それは莉亜もだし、他の大多数の生徒も同じだった。
周りの喧騒を他所に黙々とこなす姿に、勤勉さを見るか、協調性の欠陥を見るか──
建前は前者だ。しかし、彼らが共有したのは後者だった。
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