仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜


 医者として黙っていられないにしても、自分のことを心配してくれているようで嬉しかった。

 何より壱護と一緒に食事をできること、壱護が自分のためにご飯を作ってくれることが嬉しい。
 思わず杏葉の口元が緩んでしまう。


「うふふ」

「何ニヤニヤしてんだよ」

「べ、別に?」

「そんなに嬉しいんだ?」

「ご飯作ってくれるのに喜ばない妻がいるの?」

「じゃ、奥サマが喜ぶような美味くてヘルシーなやつ作ってやるよ」


 いつの間にか壱護の弁当箱は空っぽになっていた。
 全て残さず綺麗に食べたようだ。


「美味かった」

「ほんとに?」

「ああ、正直ここまでとは思ってなかったわ。味付けもよかったし、特にこの豆腐ハンバーグ?すげえ美味かった」

「そうでしょ!?これはね、柚葉も気に入ってくれてよく作るんだ!」


 嬉しそうに笑う杏葉を見て、壱護は優しく微笑む。
 思わず杏葉の心臓がとくん、と高鳴る。


「あんたって本当に妹大好きだよな」

「っ!」


 急に甘い笑顔を見せるので、なんて反応したら良いのかわからなかった。


「(何!?その笑顔は何なの!?)」


 ハワイでも壱護は時折優しい目で杏葉を見つめる。
 その瞳で見つめられる度、ドキドキしてくすぐったい気持ちになる。
 目を逸らしたくなるのに逸らせない。

 きっと気のせいだ、かりそめの妻なのだから有り得ない。
 そう思うのに愛されているのではないかと錯覚しそうになる。


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