冷たい城の番人





L区はきちんと実在していた。


急遽リサちゃんの部活のミーティングが入り、学校を出たのは予定よりも遅い18時。


バスで北へ向かい、新興住宅地を抜けて寂れた旧繁華街で降りると、時計塔がもうすぐ目の前に見えた。


巨大な建物だから近く感じただけで、実際そこからL区の入り口までは、1km以上歩かなければいけなかったけれど。



入ってみると、リサちゃんの言っていたとおりあくまで“普通の街”に見えた。


雑居ビルが広く立ち並ぶわりに開いている店はほとんどなく、ややさびれた印象。



「君たちの制服南高でしょ! 可愛い〜。ここに来んの初めて?」

「案内したげるからおいで。オレ、夕方から開いてるいいカフェ知ってるよ」



4人の男性に声を掛けられたのは、L区に入ってすぐのことだった。



この人たちがL区の住人じゃないことは、なんとなくわかった。


入り口でうろいついているたあたり、おそらくナンパ目的でここに遊びに来たんだろうな……。

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