冷たい城の番人
◇
◆
L区はきちんと実在していた。
急遽リサちゃんの部活のミーティングが入り、学校を出たのは予定よりも遅い18時。
バスで北へ向かい、新興住宅地を抜けて寂れた旧繁華街で降りると、時計塔がもうすぐ目の前に見えた。
巨大な建物だから近く感じただけで、実際そこからL区の入り口までは、1km以上歩かなければいけなかったけれど。
入ってみると、リサちゃんの言っていたとおりあくまで“普通の街”に見えた。
雑居ビルが広く立ち並ぶわりに開いている店はほとんどなく、ややさびれた印象。
「君たちの制服南高でしょ! 可愛い〜。ここに来んの初めて?」
「案内したげるからおいで。オレ、夕方から開いてるいいカフェ知ってるよ」
4人の男性に声を掛けられたのは、L区に入ってすぐのことだった。
この人たちがL区の住人じゃないことは、なんとなくわかった。
入り口でうろいついているたあたり、おそらくナンパ目的でここに遊びに来たんだろうな……。
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L区はきちんと実在していた。
急遽リサちゃんの部活のミーティングが入り、学校を出たのは予定よりも遅い18時。
バスで北へ向かい、新興住宅地を抜けて寂れた旧繁華街で降りると、時計塔がもうすぐ目の前に見えた。
巨大な建物だから近く感じただけで、実際そこからL区の入り口までは、1km以上歩かなければいけなかったけれど。
入ってみると、リサちゃんの言っていたとおりあくまで“普通の街”に見えた。
雑居ビルが広く立ち並ぶわりに開いている店はほとんどなく、ややさびれた印象。
「君たちの制服南高でしょ! 可愛い〜。ここに来んの初めて?」
「案内したげるからおいで。オレ、夕方から開いてるいいカフェ知ってるよ」
4人の男性に声を掛けられたのは、L区に入ってすぐのことだった。
この人たちがL区の住人じゃないことは、なんとなくわかった。
入り口でうろいついているたあたり、おそらくナンパ目的でここに遊びに来たんだろうな……。