名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「ベリが丘に来てからろくに観光していないんじゃないか?仕事ばかりで退屈だろう?あげるよ」
封筒を開けるように、目で合図され、雛未は中身を確認した。
封筒の中には、ベリが丘にあるあの五つ星ホテル、ブルームーンホテルのインビテーションカードが入っていた。
「本当は純華と行くつもりで予約していたんだけどね。義父の代理で後援会の集まりに出ないといけなくてね。君たち夫婦に譲る。結婚祝いだと思って受け取ってくれ」
「受け取って大丈夫なんですか?」
公職選挙法には詳しくないが、選挙に出ようという人が他人に物をあげたら贈賄に問われるはずだ。
聖はクスリと笑った。
「今のところ、俺が選挙に出馬する予定はないよ。死亡するか、本人が辞職の意思を示さない限り、補欠選挙も行われない。先生がご健在ならいざ知らず、今の状態で総裁選を行っても意味がいない。解散総選挙はまだ先の話さ。だから、いち私設秘書が購入したものを友人に贈っても、何の問題もない」
無知を鼻で笑われたような気がしたが、懇切丁寧に説明してもらい助かった。
「では……。遠慮なく……」
雛未はインビテーションカードを元通り封筒にしまった。
「祐飛は優しい男だ。俺とは違ってね。君がねだればきっと断らない」
聖はそう言い残すと、颯爽と若狭議員が眠る三号室へと向かった。
つくづく食えない男だ。