名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
その日の夜、雛未は日付を跨ぐ直前に帰ってきた祐飛に、聖からインビテーションカードをもらった経緯を説明した。
「わざわざ雛未に渡すなんて、本当に意地が悪いな、あいつ」
「どうします?ちょうど花火大会の日みたいですけど……」
インビテーションカードに記載されていた日付は、二週間後にベリが丘で開催される海上花火大会と同じ日だった。
客室から花火が見られるプラチナチケットだということには、もらった後から気がついた。
「……その日ならちょうど空いている」
祐飛はスマホのスケジュール管理アプリとインビテーションカードを見比べ、早々に答えた。
「花火に興味があるのか?」
「わ、私は別に!?祐飛さんもせっかくのお休みなら、出掛けずゆっくりしたいでしょうし……」
我ながら可愛くない言い方をしているとは分かっている。
本当は五つ星ホテルから眺める贅沢な花火見物に憧れているくせに。こういう時に素直になれないのが雛未の悪癖だ。
「ふーん……」
「ふぎゅっ!」
祐飛からいきなり鼻を摘ままれ、雛未は潰れたカエルみたいな変な声を出してしまった。
「行かなかった理由をあとから聞かれるのも面倒だしな。変に勘ぐられないように、とりあえず行ってみるか?」
「そう、ですね……」
祐飛は何もかもを見透かしたように余裕たっぷりでそう言うと、シャワーを浴びに浴室へと入って行った。
(もしかして、バレてた……?)
雛未は摘ままれた鼻をさすりながら、今のやりとりについて思いを馳せた。
祐飛はわざと雛未が断れないような理由を用意してくれたのではなかろうか。
それとも深読みのしすぎ?
いずれにせよ、聖の言う通り、祐飛はたまの休日に花火見物に付き合ってくれる優しい男だった。