名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
夢中で飲み食いしていると、突然窓からドーンと腹の底に響く大きな音がした。
花火の打ち上げが始まったのだ。
「わあ……」
夜空に大輪の花がぱっと咲いては消えていく様は壮観だった。
雛未は花火がよく見えるように、部屋の明かりを消した。
窓際のソファに腰掛け、花火を眺め始める。
「綺麗……」
夏の夜空に咲き誇る一瞬の芸術は、儚いからこそ美しい。
命の灯のようでもあり、雛未達の結婚生活のようでもある。
(やだ、感傷的になってる?)
ベリが丘に来てから、これまでの生活と何もかも変わったせいか、時々、心の整理が追いつかなくなる時がある。
祐飛に予定をすっぽかされ、五つ星ホテルにひとりで泊まることになった、こんな夜はなおさらだ。
から元気も最後までは持ちそうにない。
「どうせ、素直にお礼も言えないような可愛くない女だもんなあ……」
雛未はワイングラス片手に盛大に落ち込んだ。
クレームから庇ってもらった時、祐飛にお礼を言えなかったことがずっと心に引っかかっている。
言おう言おうと機会を見計らっているうちに、どんどん日が経ってしまい今日に至った。