名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「遅れて悪かった」
夢でも見ているのかと思った。
廊下に立っていたのは病院に行ったはずの祐飛だったのだ。
「どうしてここに!?」
「行かないとは言わなかったはずだが?引継ぎの先生も到着したし、早々にお役御免になった」
祐飛は客室の中に入ると扉を閉め、荷物を床に置いた。
いつまでも茫然と立ち尽くす雛未を不審に思ったのか、頬をペシペシと軽く叩かれた。
「どうした?酔ってるのか?」
テーブルの上のワイングラスと空きボトルが祐飛の目にとまったらしい。
ひとりでワイン二本を空けたら、さすがに酔いも回る。
足元もふらつくし、判断力だって低下している。
雛未は酔いが回ったことを言い訳にして、ほとんど衝動的に祐飛にぎゅうっと抱きついた。
「少し飲みすぎました……」
「あの量をひとりで空けたらそうなる。次は俺の目の届く範囲で飲め」
祐飛は少し呆れていたが、優しく頭を撫でてくれた。
とてもじゃないが、顔を上げられそうもない。
この気持ちをどう表現していいのかわからなかった。
来てくれて嬉しいような気もしたし、見捨てられなくて安心したような気もする。
キチンと説明してくれなかったことが腹立たしくもあり、ひとりきりにされて寂しくもあった。