名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

 ◇

「よし、出来た!」

 雛未は自らが作ったハーバリウムの仕上がりに、満足げに頷いた。
 この日、雛未は趣味であるハンドメイドに精を出していた。
 ハーバリウムの作り方は意外と簡単だ。
 よく乾かしたボトルの中に、カットしたドライフラワーを配置し、専用のシリコンオイルを空気が入らないようにゆっくり注ぐだけ。
 蓋をしたら、リボンをかけて完成だ。

「何を作っているんだ?」
「祐飛さん!」

 いつの間にか帰宅していた祐飛に後ろから手元を覗きこまれ、雛未はパッと身体を縮こませた。
 初恋に戸惑う中学生じゃあるまいし、少し距離が近いだけで大袈裟だ。
 
「ハーバリウムです。ブルームーンホテルの部屋を譲ってもらったお礼に差し上げようかと思って」
「……聖に?」
「純華さんにですよ」

 雛未だって聖に辛辣な言葉を投げかけられたことを忘れてはいない。
 この結婚に疑問を抱いている聖に、部屋を譲るという発想が出てくるはずがない。
 おそらく発案者は純華だろう。
 結婚祝いをあげていないと気に病んでいた彼女の計らいに違いない。

(喜んでくれるといいな)

 雛未が作ったのは、夏をイメージしたオレンジとイエローのハーバリウム。
 メインの花は夏らしい元気なひまわり。他にアクセントにバーベナやカスミソウ、エリカなどをバランスよく詰めた。
 あと、季節外れではあるが、願掛けとして四つ葉のクローバーも一緒に入れた。
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