名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

「昔から四つ葉のクローバーが好きだったのか?」

 祐飛はテーブルに置かれた花材のうち、四つ葉のクローバーを手に取った。

「え、あ。そうですね。割と……」
「へえ……」

 雛未にとって、四つ葉のクローバーは幸運の象徴だ。
 見ているだけで、なんとなく元気が出てくる。
 夫婦問題に悩む純華を少しでも励ましたいと思ったのだけれど……。

(やりすぎだったかな?)

 自分だけが好きならともかく、友人にまで四つ葉のクローバーを贈ろうとするのはやりすぎ?
 雛未はなんとなく気まずくなり、あえて明るく取り繕った。

「実は四つ葉のクローバーには『幸運』ていう意味以外にも花言葉があるんです。知ってます?や……」
「約束」
 
 雛未が話すより先に祐飛に言い当てられ、度肝を抜かれる。
 花言葉に詳しいようなロマンチストには見えない。

「よくご存知ですね」
「……まあな」

 祐飛は口の端を僅かに上げるようにして笑った。
 中庭で押し花を拾われた時、子供っぽいから笑われたと勘違いしたけれど、きっと祐飛にとってはこれが最大級の笑顔なのだろう。

「すぐに片づけて、夕食の準備をしますね。先にシャワー浴びてきてください」

 雛未はそう言うと、テーブルの上に広げていた花材と道具を手早く片づけ始めた。
 祐飛は雛未に言われた通り、先にシャワーを浴びに行った。
 
(なんで四つ葉のクローバーを見て笑ったんだろう?)

 愛しげに細められた目と柔らかい笑みが、どうしても頭から離れない。
 雛未は冷静さを取り戻すべく、スーハーと大きく深呼吸をした。
 ようやく動悸がおさまると、祐飛がシャワーを浴びているうちに夕食の支度に勤しんだ。
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