名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
翌日、雛未は茉莉に頼んで、昼休みを前倒しさせてもらった。
時間通りカウンターにやって来た祐飛は雛未を連れ、國治が入院する三号室へと向かった。
祐飛が小気味よく扉をノックをすると、軽やかな返事があった。
「國治おじさん、入りますよ」
「ああ、祐飛くん。よく来たね。それで、私に折り入って何の話があるんだい?」
新聞を読んでいた國治は麻痺の残らなかった右手で老眼鏡を外した。
一ヶ月の言語リハビリの甲斐があり、発音はやや明瞭になっていた。
まもなく退院出来るとあってか、國治には活力がみなぎっていた。
「退院する前に妻を紹介させてください。妻の雛未です」
雛未は軽く会釈をした。
妻だと言って紹介してきたのが顔なじみでもある雛未であることに始めこそ驚いていたものの、次の瞬間嬉しそうに微笑んだ。
「私が眠っている間に結婚したと聞いていたが……。まさか、こちらのお嬢さんだったとはね。おめでとう、祐飛くん」
「ありがとうございます」
國治と祐飛の父親は同じベリが丘に居を構える者同士、仕事上の関係だけでなく、個人的な付き合いもあるという。祐飛も國治とはゴルフでラウンドをするくらいの仲だそうだ。