名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
必要な挨拶が済むと、雛未は祐飛の前へと進み出た。
「貴方にお話があります」
「話?」
國治にとって、雛未の話は青天のへきれきだろう。
でも、もう引き返せない。
雛未は折れそうになる心を叱咤し、すべてを打ち明ける覚悟で口火を切った。
「雨宮菊香という名前に聞き覚えはありませんか?」
「さあ?知らないねぇ……。君とはどういう関係の人だい?」
「私の母です。母は今年の一月に亡くなりました。遺品の中にこれが……」
雛未は國治に持参した手紙の束を渡した。
國治は一度外した老眼鏡を再び付け直すと、手紙をひとつずつ検分していった。
全ての手紙に目を通し終えたところで、雛未が再び口を開く。
「母はシングルマザーでした。私は父親が誰か知らないまま育ちました。この手紙を見つけた日に、たまたま貴方のお名前をテレビで拝見して……このベリが丘までやってきました」
雛未は己を奮い立たせ、話の核心をついた。