名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

「それにしても雛未さんがきてくれて助かった~。特別室のアテンド職員って万年人手不足なんですよー」
「そうなんだ?」

 特別室のアテンド職員は、月曜から土曜のシフト制で、勤務時間は一時間の休憩時間を含めた十時から十七時だ。
 給料は時給制だが、入職したての今ですら母の友人のカフェで働いていた時の二倍もの時給が保証されている。
 勤務態度や資格取得に応じて、今後もアップするらしい。
 昨今賃金に関して不満を唱える人が多い中、破格の値段だ。
 こんなに待遇が良ければ応募が殺到しそうなものだけれど、なぜ人手不足に陥っているのか。
 不思議に思っていると、茉莉がその理由を教えてくれた。

「特別室に入院されている方は気難しい方も多いし、お医者様の身内の方々はそもそも労働に対する意欲がないんですよ。雇われてもすぐ辞めちゃうし」
「へー」

 雛未はそういうものなのかと、相槌を打った。
 医師の身内は裕福な家庭が多く、労働しなくともお金には困らないのだろう。
 ベリが丘病院には百名以上の医師が勤務しているが、働きたいと希望する身内の人間が、かなりの少数派であることを知った。

「茉莉さんは、どうしてここで働いているの?」
「へへっ……!私はこれです!」

 茉莉はスマホを取り出し、雛未にディスプレイを見せた。そこには、軍服を模したコスチュームを着た王子様風の男性キャラクターが映し出されていた。

「この方は?」
「私の大好きなミレイ様です!」
 
 茉莉はここぞとばかりに、己の身の上を語り出した。

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