名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
茉莉は勤続二年目で、雛未より二つ年下の二十七歳。姉が循環器内科に勤務しているそうだ。
元々は一般企業で会社員をしていたが、ブラックな環境下で心が摩耗し、辞表を上司に投げつけるようにして退職。
そんな時に、友人から勧められたアニメで、『ミレイ様』と出会ったらしい。それ以来、このキャラクターに自分の稼いだ給料の大半を注ぎ込んでいるという。
(働く理由は人それぞれなんだな……)
雛未は茉莉の熱量に完全に圧倒されていた。
次から次へと出てくる楽しそうな推し活エピソードに感心しながら、デリプレートについてきたコンソメスープを啜る。
(……ん?)
カップを手に持った雛未は、カフェテラスを包むただならぬ雰囲気をようやく察知した。
(すごーく見られている?)
事務室にいる時にもうっすら感じたが、常に誰かしらの物騒な視線に晒されている気がする。
現に、ふた席離れたテーブル席からでは、女性がこっそりこちらの話に聞き耳を立てている。
ニコリと愛想笑いを返すと、サッと目を逸らされた。
これはただ事ではない。
「雛未さん?どうしました?」
「あの……私、何か変かな?ジロジロ見られているような……」
もしかして、制服の着方が間違っているのだろうか。
それとも、雛未が自意識過剰なだけ?
不安を覚えて尋ねると、茉莉はハハーンとしたり顔になり高らかに説明した。