名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「みんな未来の院長夫人がどんな人なのか、興味津々なんですよ!なんたって雛未さんは"あの"不破先生の奥様ですからね!しばらくはパンダ並みにジロジロ見られると思いますけど、そのうちおさまりますよ」
(院長夫人?)
茉莉はキョトンとしている雛未には気がつかず、嬉々として続けた。
「なんたって四代続く医者の家系!ベリが丘病院の御曹司様が電撃入籍!不破先生ってば、全然そんな素振りなかったのに、ひっそり愛を育んでいたんですねー」
先程飲み込んだばかりのコンソメスープを吐き出すかと思った。
驚きすぎて一瞬思考が停止した。
(おん、ぞうし!?)
思わず素っ頓狂な声を上げそうになり、雛未はグッと堪えた。ここで慌てふためいてしまったら、不審に思われる。
祐飛がベリが丘病院の御曹司だなんて事実は初耳だった。これまで祐飛は一度として、自分の家の家業には触れなかった。
道理で雇われの身にしては、羽振りが良いと思った。
純華や聖と同じベリが丘出身であると知った時点で、詳しく聞いておけばよかった。
「雛未さんに言うのもあれですけど、もう一時期は本当に凄かったんですよー。不破先生が外来担当の日は、未来の院長夫人の座を狙う女の人が鈴なりで!まあ、院内にも不破先生狙いの人はたくさんいましたけどねー!」
祐飛がうんざりしていたのは、このことかとようやく思い至る。
実際に目にしていないが診察室が即席のお見合いの会場と化した様子が、目に浮かぶようだった。