名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

 雛未の住まいは、ベリが丘病院から目と鼻の先にある五階建てのマンションだ。
 二人で暮らすには広すぎるファミリー向けの4LDKの間取り。
 このマンションには付帯サービスとして、二十四時対応のコンシェルジュデスクが完備されている。
 コンシェルジュデスク直通の電話でお願いすれば、設備の故障からクリーニングの受け取りまで、大抵のことは対応してもらえる。
 他にも、ペットシッターやら、出張ネイルサロンなど、ベリが丘には便利なサービスが充実している。
 ベリが丘にある大半の家庭で、こういったサービスがワンクリックで利用できるというから驚きだ。
 
「夕飯でも作ろうかな」

 この日のノルマを終えた雛未はテキストをバッグにしまい、食材宅配サービスを通して今朝方届けられた材料を使って、夕食作りに勤しむことにした。
 夕食は大抵ひとりだ。今日も祐飛は仕事だ。
 アカウントを共有しているスケジュールアプリによると、この日は日勤だが、退勤時間通りに帰ってくるかどうかは不明である。

< 60 / 190 >

この作品をシェア

pagetop