名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
ベリが丘病院には六名の脳神経外科医が勤務しており、24時間365日の体制で入院患者、救急患者に対応しなければならない。
御曹司といえど祐飛にも激務に身を投じる義務がある。
(ほーんと、お医者さんって大変だあ……)
勤務形態は極めて不規則であり、予定していた手術が長引き、雛未が寝る寸前に帰ってくることもザラだ。
患者の容体が安定しない場合は、病院に泊まり込むこともあった。
勤務時間が終わってもオンコールで呼び戻されたりと、医者という職業がいかにハードなのか、この数日で嫌というほど思い知らされた。
(まあ、私も一人の方が楽なんだけどね)
小さい子供じゃあるまいし、祐飛がいなくてもなんら問題はない。
むしろ、同じ空間にいる方が緊張する。
初夜の出来事は記憶に新しい。
掠れた声も、生々しい息遣いも、汗ばんだ皮膚の感触も、まだ鮮明に覚えている。
ベッドに押し倒された時、てっきり祐飛のひとりよがりな行為になると思ったが、実際にはそうはならなかった。
(祐飛さんってクレバーなようで意外と……)
いつも命令口調で、強引で無愛想な祐飛だが、雛未の身体を壊れ物のように丁寧に扱った。
そっと優しく触れたかと思えば、表情をじっくり観察し、雛未が苦しくないように、愉悦に浸れるように、時間をかけて導いてくれた。
あんな風に優しく触られたら、大事にされているのだと勘違いしそうだ。
これまで何人かの男性と付き合ってきたけれど、祐飛のような人は初めてだった。