名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「あの……お口に合いますか?」
祐飛の分の朝食と夕食はいつもトレーにのせて、ダイニングテーブルに置くのが常だった。
仕事から帰ると皿が片付けられているので、食べてくれていることは知っていたが、目の前で口に運んでもらうのは初めてだった。
雛未が作ったのはごく一般的なハンバーグだ。
材料そのものは少し値が張るが、献立はいたって平凡そのもの。
「美味い。カップ麺よりずっといい」
ストレートに褒められ、雛未は気分が良くなった。
ただ、比較対象がカップ麺なのがいただけない。
(御曹司でも夜食はカップ麺が定番なのか……)
健康のためにも、もっと栄養があるものを食べてもらいたい気がするけれど。
「ごちそうさま」
祐飛よりひと足先に食事を終えた雛未は、食器を水で洗い流し、食洗機の中に入れた。
雛未を追うように、食器を下げに祐飛がキッチンにやってくる。
「あ、食器はそこに置いておいてください。すごいですね、このキッチン。食洗機まで……」
「雛未」
調理台を拭いていた雛未の動きが止まる。
――祐飛に抱き寄せられたからだ。