名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「こういうことは好きな人とだけするものですよ!」
物分かりの悪い祐飛に苛立ちをおぼえた雛未は、ありきたりな主義主張を盾にしてお説教をかました。
ここまであからさまに拒絶されたら、大概の人は引き下がるだろう。
実際、祐飛も口をへの字に曲げ、苦い顔つきになった。
「……わかった」
ようやく納得してもらえたと胸を撫で下ろしたのも束の間。次の瞬間、雛未は祐飛にひょいと抱き上げられた。
(……え!?)
驚いている間に、祐飛が使っている寝室まで運ばれてしまう。
したくないと伝えたにも関わらず、祐飛は雛未をベッドに下ろすと、その上にのしかかり、己のシャツを脱いでいった。
(なんで脱ぐの!?)
綺麗な鎖骨がチラリと顔を覗かせ、目のやり場に困る。祐飛はそんな雛未の首筋に頭を埋め、ちゅうっと唇を這わせ始めた。
「待って!」
「わかってる。キスはしない」
祐飛の言葉を聞いて、雛未は悲鳴をあげそうになった。
(そういうことじゃない!)
雛未が拒絶したのは性交そのものであり、キスされるのが嫌で駄々を捏ねたわけではない。
やることやっといて、今更キスが嫌だなんて純情ぶるつもりもさらさらない。
勘違いを正すべく祐飛の身体を押し返すが、雛未の力ではびくともしなかった。