名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「カードを返しにきました」
一時間ほど経ち、雛未が請求書を作り終え、茉莉にチェックしてもらっていると、面会を終えた純華がカウンターまでIDカードを返しにやってきた。
「次回の予約はお取りになりますか?」
いつも通り次回の面会予約をとって帰宅するのかと思いきや、純華は予約の手続きが終わってもその場から離れようとしなかった。
「あの、雛未さん……」
「まだ、何か?」
この時の雛未は完全に仕事モードだった。
カウンターの前で立ち尽くし、いつまでも本題を切り出さない純華を、雛未は辛抱強く待ち続ける。
やがて、純華がおもむろに口を開いた。
「よろしければ私の家に遊びに来ていただけませんか……!」
あまりに必死だったのか、ボリュームの調整がすっかり忘れられていたようだ。
フロア中に響きそうな大音量に、隣に座っていた茉莉まで巻き添えを食らい驚いている。