まどろみ3秒前

sleep 10


睡魔が襲ってきたのは、私が家へ帰ってきたときだった。時計は朝の8時になっていた。

当然ながら家族全員に心配され、お母さんは涙目になっていた。


「翠…どこ行ってたのこんな時間…ていうか朝まで…」

「警察呼ぼうかと思ってたよほんと…」

「姉ちゃん…どこ行ってたの…」


怪訝な顔をするお父さんや累に、私は安心させるよう笑みを浮かべ「ごめんごめん」と謝る。 


「…もう、どこにも行かないでよ…心配するでしょう?連絡くらいちょうだいよ」

「うん、ごめんほんと」

「てかこんなに濡れて…傘もってかなかったの?寒いでしょう?シャワー浴びる?」


私を上から下までじろりと見渡す。髪も服も濡れている私を見ておかしく思うのは当然だ。

言われるがままに、私は暖かいシャワーを浴びて、ココアを飲んで一息ついた。

累やお父さんは、私がシャワーを浴びている間に既に学校や仕事に行ってしまったらしい。


「どこ行ってたの?」

「あーちょっと、友達と朝まで喋ってて」


適当に言って、私は自分の部屋へ閉じ籠った。お母さんはまだ何か言いたげな顔をしていたが、申し訳なく扉を閉めた。
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