まどろみ3秒前

昼寝程度に寝ることにした。

夜に深く寝る深睡眠であれば、この病気は発動する。だが昼寝や気絶であると、この病気は発動せず、短時間で起きることが可能だ。


―コンコン


扉を叩く音がして、寝ようとしていた体を起こす。「なに」と扉の先にいるであろうお母さんに叫んだ。


「病院行こう?お医者さんに、天塔が起きたら真っ先に連れてきてって言われてたから」

「…わかった」


小さな病院ではない、大きな病院の方へ電車で向かう。あの若い医者の元へ行くのだ。


「さすがに今日、学校は休むよね?」

「…ううん、行く」

「え?夜寝なかったでしょう?寝ないでいいの?眠くないの?」

「…眠いけど、大丈夫だから」


学校には、行く。昔からそれは自分の中で決めていた。学校に行かないと、なんだか負けた気がするのだ。行けるときは行く。

どんなに気持ち悪い、と陰口を言われていても、私は、笑みを浮かべて学校へ行く。

電車で向かっている途中、何度も倒れかけた。眠くて眠くて仕方がなかったが、私は負けない。

…朝くんのせいだ。私が頷いちゃったけど、朝くんが、私に無理さすからだ、ほんとに。

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