まどろみ3秒前
そして、何も知らない考えない先生の視線。空気がどんよりと曇る。
私の答えを、皆が待っている。
私は、「えー夢?」と笑みを浮かべる。先生は、頷いて「そう夢だよ。僕はね、家族と」と結局自分の話をして、「じゃあ天塔さんは」と私の問いを待った。
私は、震える唇で口を開く。
「夢とか、ないですね」
静かな教室に、低くて不細工な私の声が響き渡る。
「…な、ないの?」
先生は、そんなことを言う予想をしていなかったようで、「あ、ああー!まあ高校生だしね」とどこか焦っていた。
何かが間違えていたのか、私にはよくわからない。
「じゃあ中谷さんは?」
「えっーと?俺はまあ宇宙飛行士っすかねぇ~?俺頭いいんで~」
1人の男子の発言に、教室は笑いに包まれる。
よかった。この中谷っていう男子に救われた。ああ、こんな風に私もおちゃらけて言ったらよかったのかな。
私は、この教室にいないみたいだ。
全てに、色がないみたいに思えてくる。心は、すでに死んでいるみたい。
別に夢なんて、眠ったら夢みれるよ?
そんな風にしか、私は思えずにいる。