私と彼の溺愛練習帳
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仕事の昼休みに届いたメールを見て、雪音は驚いた。
水崎からのメールだった。
社員旅行の集合写真があったよ。だんなさんと一緒に参加していたんだ。
添付された画像を、どきどきしながら開いた。
見た瞬間、両親だとわかった。
良かった。お父さんとお母さんの顔、記憶と一緒だった。
雪音はぎゅっとスマホを抱きしめた。
知らせは立て続けに来た。
最初に訪れた工場の男性から、母に似た人の情報があった、とのことだった。
その人は入院中だった。病院の名前、住所も書かれている。八王子に隣接した神奈川県の大きな病院だった。
メールを見てからは、ずっとそわそわした。仕事を終えて工場から出ると、急いで惣太に電話をかけた。
「お母さんが見つかるかもしれない」
胸がいっぱいで、それ以上のことは言えなかった。
「良かった! お母さん、どこに?」
惣太はうれしそうにたずねた。
「入院中なの」
「心配だね。病気? ケガ?」
「事故で、植物状態なんだって」
「確認に行くんだよね?」
「……今度の土曜日に」
だけど、行くのが怖かった。別人だったらショックだが、その可能性が高いだろう。今まで見つからなかったのだから。
だけど、もし母だとしたら。
そう思うと、いてもたってもいられない。
「一緒に行こうか?」
聞かれて、雪音は迷う。
一緒にいてくれたら、きっと心強い。母であってもなくても、大きく揺れる心を共有してくれたら、きっと。
だけど。
「一人で行って来る」
雪音は答えた。
母に会うそのとき、そばにいてほしかったのは惣太ではない。