魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 魔王は王女を安心させるために微笑みかけた。

「僕がその斑紋死病の特効薬を作るのは簡単なんだけど、魔女が作れるようになればもっといいんじゃない?」

 王女は目を見張った。

「どう?」

「それは最高です!」

 王女から笑顔を引き出せた魔王はニンマリした。

「なら、そうしよう。そのために一緒に人間界に行こうか」

「『一緒に』って、魔王様と私とでってことですか?」

 王女が隅に控えている侍従長に視線をやった気がして引っかかった。

「何か問題ある? 王宮はいいとしても、魔女の集落に僕ひとりで行くっていうのはね。怖がらせたくないし、一緒に行ってくれたほうが話がしやすくていいな」

「行きます、一緒に! それで、そのあとは具体的にどうすればいいんですか?」

 王女は前傾姿勢になって答えた。
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