魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
「あっ、うん。聞いた、聞いた」
「えっ、ずいぶんと軽いのね」
「そんなことはない。びっくりした。びっくりしたんだけど……」
自分の両親が誰なのか、その真実には心底驚いた。にわかには信じられないくらいだった。
けれど、たった今ネズミもどきに続いてカラスの正体まで判明して、またもや驚いたせいで、すっかり上書きされてしまったのだ。
(それに……)
「まだ気持ちは追いつてこないんだ。私小さい頃は、ソフィー母さんが本物の母さんだったらなって、よく夢想してたから、うれしいのは確かなんだけどね。それとそうは言いつつ、集落のみんなが私の家族ってことには変わりはないんだし」
「そう。それで、父親のほうは? どう思った?」
「もっと実感が湧かないやー」
イーダはケラケラ笑った。