エンドレス・ラプソディ
「君がうちに来なくなってからしばらくして、父さんの病気が見つかってね。それから、あっという間にね。そのあと、父さんが経営していた会社を継いだんだけど、不景気のあおりで倒産して、家も売って、この有様だよ」

 肩をすくめて力なく笑顔を向けるが、こちらとしてはとても笑えない。

「なかなか働き口もなくてさ。日雇いでなんとかね」

 俺を助けてくれた人が、こんな状態になっていたなんて愕然とした。

「服、返してくれて、ありがとな」

「あ、うん」

 もう帰っていいよ、みたいな空気になったけれど、このまま帰っていいはずがない。だけど、どうしていいか分からない。

 うつむいて動かない俺を、おじさんは困惑した表情で見上げる。

「あ、あの。これ!」

 そう言って名刺を渡した。

「お、ああ。ありがとう」

 戸惑いながらも受け取るが、きっと連絡をする気はないんだろう。

「また来ます! 次は、俺のうちに案内します」

 そのときは、俺のうちから就職活動してください! その言葉に、おじさんは目を見開いた。

「いや、そんなことをしてもらう訳には……」

「いいえ。それくらい、させてください。誠二さんと、お父様は俺の命の恩人なんですから」
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