エンドレス・ラプソディ
「いやいや、そこまでじゃないよ」
「いいえ! 母さんに、俺が虐待されてるって知らせたのは、じいちゃんですよね」
そうでなければ、あの男が突然、いなくなるなんておかしい。
学校から帰ったら、電気の付いていない部屋で気が抜けたように座り込んでいた母さんが、俺を見ていきなり抱きしめて、泣いて「ごめんね」と繰り返した。
あのときは、何があったのか分からなかったけど、思い返せばすべてがつながる。
「今は一人暮らししてるけど、母さんもまだあのアパートにいて、元気にしてます」
あの男と別れていなかったら、俺たちはどうなっていたか分からない。そう、男は出て行って数年後、暴行事件で捕まった。
相手は意識不明の重体だった。その暴力が俺たちに向けられていたかもしれない。
「少しくらい、俺に、恩返しさせてください」
決意の眼差しで両手を握ると、彼の目から涙がこぼれた。これまで独りで耐えてきて、どれほど心細かったことだろう。
「──っ本当にいいのか? すまない。ありがとう」
「良かったなあ」
隣にいたホームレス仲間が誠二さんの肩を叩いて、もらい泣きしていた。こんなに、自分のことのように喜んでくれる人もいるんだな。きっと、誠二さんの人柄なんだ。
俺が、誠二さんと出会ったことで、俺と母さんの未来が変わったように。この再会が、誠二さんの未来を変えてくれるといい。
「いいえ! 母さんに、俺が虐待されてるって知らせたのは、じいちゃんですよね」
そうでなければ、あの男が突然、いなくなるなんておかしい。
学校から帰ったら、電気の付いていない部屋で気が抜けたように座り込んでいた母さんが、俺を見ていきなり抱きしめて、泣いて「ごめんね」と繰り返した。
あのときは、何があったのか分からなかったけど、思い返せばすべてがつながる。
「今は一人暮らししてるけど、母さんもまだあのアパートにいて、元気にしてます」
あの男と別れていなかったら、俺たちはどうなっていたか分からない。そう、男は出て行って数年後、暴行事件で捕まった。
相手は意識不明の重体だった。その暴力が俺たちに向けられていたかもしれない。
「少しくらい、俺に、恩返しさせてください」
決意の眼差しで両手を握ると、彼の目から涙がこぼれた。これまで独りで耐えてきて、どれほど心細かったことだろう。
「──っ本当にいいのか? すまない。ありがとう」
「良かったなあ」
隣にいたホームレス仲間が誠二さんの肩を叩いて、もらい泣きしていた。こんなに、自分のことのように喜んでくれる人もいるんだな。きっと、誠二さんの人柄なんだ。
俺が、誠二さんと出会ったことで、俺と母さんの未来が変わったように。この再会が、誠二さんの未来を変えてくれるといい。