強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「瞳さんも、もうすぐ高校生ですし」


 裕大叔父様がこちらを見ながら言った。


「そろそろ将来のことを考えてもいい年頃でしょう」

「……はい」


 返事はできた。

 でも、心はついていけるとは限らない。


「尚人くんも、以前から瞳さんを大切にしてくれている」

「そうですね」


 別の大人の言葉に、尚人さんが答える。

 その声は穏やかだった。


「僕は、瞳さんのことを昔から大切に思っています」

「尚人さん……」

「ですが」


 尚人さんがわたくしを見る。


「瞳さんが望まないなら、僕はこの話を進めるつもりはありません」


 大人たちが少しざわついた。


「尚人くん」

「婚約というのは、家同士だけで決めるものではないと思っています」


 その言葉は、静かだった。

 けれど、力強さがあった。


「僕は、瞳さんに選んでほしいです」


 胸が苦しくなる。


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