強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「……それは、素晴らしいですわ」
「そう言ってくれると信じていたよ」
叔父様はコロコロと軽やかな笑い声を上げた。
「だけどね、それだけじゃない」
そこで言葉を一度区切ると、わたくしに向き直った。
わたくしは無意識に身体を固くする。
「将来をきちんと見すえてる」
「将来、ですか」
「ああ」
叔父様は満面の笑みを浮かべた。
「見た目が良くて、文武両道なだけならただの学生だ。だがね、あの子は自分が鈴間家を背負う者としての意識が常にある」
「……」
「将来は会社を継いで、オーストラリアで新事業を起こしたいと言っていたよ」
「まぁ……」
ITや通信の新事業──わたくしには想像もつかないけれど、きっと途方もなくすごい事業なんだろう
本当にすごい人だ。
「どうだろう、瞳さん。前向きに検討してもらえないだろうか」
一転して哀願する様子に、わたくしは頷くことしかできなかった。