強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「やっぱりここの娘、だよな」

「……っ」


 心臓が嫌な感じの音を立てた。


「……わたくし、は」

「なぁ、また顔赤い。やっぱり熱──」

「ありません!」

「でも──」

「本当にありませんから!」


 わたくしが強く言うと、男の子は少し目を丸くした。


「……わかった」


 素直に引いてくれたけど、妙な空気が流れて逆に困る。


「俺は藤太。野澤藤太」

「藤太……」


 わたくしはその名前を心の中で繰り返した。

 不思議な印象が残った。


「それで?」

「え?」

「瞳は、どうしてここに来たの?」

「……庭を散歩していただけです」

「こんな夜に、雨の中?」

「……」

「めちゃくちゃ寒いのに?」

「……」


 痛いところを突かれたけど、ツンとすまして何でもないことのように答える。


「少し考え事をしていただけですわ」

「考え事?」

「ええ」


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