強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
そんなある日の午後。
「瞳」
みそら園を訪れたわたくしに、美緒が声をかけてきた。
「少し話さない?」
「……ええ」
美緒に案内され、みそら園の裏手にある小さなベンチへ向かう。
藤太は子どもたちの相手をしているらしく、ここにはいない。
わたくしは少しだけ緊張した。
美緒に釘を刺されるかもしれないと、そう思ったからだ。
「何ですの?……話したいことがあるのでしょう?」
「さすが、お嬢様」
「からかわないでください」
美緒が無邪気に笑う。
「じゃあ、私から聞いてもいい?」
「どうぞ」
「藤太のこと」
「……」
やっぱり。
その名前が出ただけで、身体がこわばる。
「藤太のこと、どう思ってる?」
「……どう、と言われましても」
「好き?」
真正面から聞かれて、わたくしは思わず黙り込んだ。
「図星?」
「……あなたは、本当に遠慮がありませんわね」