強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「よく言われる」


 美緒は楽しそうに笑った。

 けれど、わたくしは反対に真剣な顔で尋ねる。


「では、あなたは?」

「私?」

「藤太のことを、どう思っていますの?」


 聞いておきながら、少しだけ怖い。

 けれど、美緒はあっさり答えた。


「大事な幼なじみ」

「……それだけ?」

「うん」


 迷いのない返事だった。


「昔は、ちょっとだけ好きだったこともあったけど」

「……」

「今は違うよ」

「どうして?」

「藤太は藤太だから」

「……意味がわかりませんわ」

「私にとって、恋愛相手じゃないってこと」


 美緒は肩をすくめる。


「家族みたいなものかな」

「家族……」

「うん。だから、藤太が誰を好きになろうと私は応援する」

「……」

「むしろ」


 美緒がわたくしを見る。


「やっと誰かを好きになったんだなって思ってる」

「……え?」

「藤太」


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