強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「どうして?」
「ここが好きだから」
美緒の目は真っ直ぐで、藤太を思わせた。
「子どもの頃からずっとここにいたし。ここでたくさんの人に助けてもらったから」
「……そう」
「だから今度は、私が誰かを助ける側になりたい」
その言葉に、迷いはない。
「藤太がいるのも理由ですの?」
「それも、少しはあるかもしれないけど」
美緒は首を横に振る。
「それだけが理由じゃないよ」
「……」
「ここに残るのは、藤太に縛られてるからじゃない」
美緒は、自分の胸に手を当てた。
「私が自分で選んだ道」
その言葉が、なぜか胸に強く残った。
「自分で……」
「そう」
「自分で選ぶ……」
「うん」
美緒はわたくしを見る。
「瞳は?」
「え?」
「瞳は自分で選んでる?」
声が喉で詰まる。
久保寺家の娘として。
将来のため。
家のため。