強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
わたくしはいつも「こうするべき」で生きてきた。
学校でも。
家でも。
全部。
自分で選んでいるようで、実は誰かが望む「正解」を選んでいたのかもしれない。
「……わかりません」
初めて、そんな言葉が口から出た。
「わからない?」
「はい」
「じゃあ、これから考えればいいよ」
美緒は静かに笑う。
「私もまだ途中だから」
「……」
「瞳も、自分で選べばいいよ」
「……簡単に言いますわね」
思わず苦笑する。
「わたくしには、そんなに簡単なことではありません」
「うん」
美緒は頷いた。
「そうだね、簡単じゃない」
「……」
「だから、逃げる理由にしないで」
胸を突かれた。
「……何から?」
「身分とか、家とか」
美緒はまっすぐわたくしを見る。
「それを理由にして、自分の気持ちから逃げないで」
「……」