強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 わたくしはいつも「こうするべき」で生きてきた。

 学校でも。

 家でも。

 全部。

 自分で選んでいるようで、実は誰かが望む「正解」を選んでいたのかもしれない。


「……わかりません」


 初めて、そんな言葉が口から出た。


「わからない?」

「はい」

「じゃあ、これから考えればいいよ」


 美緒は静かに笑う。


「私もまだ途中だから」

「……」

「瞳も、自分で選べばいいよ」

「……簡単に言いますわね」


 思わず苦笑する。


「わたくしには、そんなに簡単なことではありません」

「うん」


 美緒は頷いた。


「そうだね、簡単じゃない」

「……」

「だから、逃げる理由にしないで」


 胸を突かれた。


「……何から?」

「身分とか、家とか」


 美緒はまっすぐわたくしを見る。


「それを理由にして、自分の気持ちから逃げないで」

「……」


< 126 / 182 >

この作品をシェア

pagetop