強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「だって」


 美緒がささやくように言う。


「瞳は藤太のこと好きなんでしょう?」


 もう、否定できなかった。


「……はい」


 小さな声。

 けれど確かに、自分の口から出た。


「わたくし……藤太が好きです」


 言葉にした瞬間。

 胸の奥にあった何かが、少しだけほどけた。

 だけど、もちろん怖い。

 これから先、この気持ちがわたくしや藤太を苦しめるかもしれない。

 家族に知られたら。

 親戚に知られたら。

 きっと、簡単には認めてもらえない。

 それでも。


「……好きなんだね」

「ええ」


 美緒は嬉しそうに笑った。


「やっと言った」

「……美緒」

「ごめんごめん」

「本当に、あなたは……」


 わたくしは呆れながら笑った。

 でも、心は不思議なくらい軽くなっていた。


「でも」


 美緒が言う。


「告白するかどうかは、まだ決めなくていいと思う」


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