強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「そっか、それで最近寝不足だったんだね」


 次の日のお昼。

 わたくしと香織は校内のテラスで昼食をとっていた。


「しっかしなんというか……茨道だね」

「ええ、前途多難ですわ」

「こう、家にとってメリットがないと厳しいよね」

「それを跳ね除けるだけの価値を、わたくしが示せばいいのですわ」


 香織は目を見張ると、「あたしの友だちが強すぎる!
」とカラカラ笑った。

 湿っぽくなりすぎない彼女の言動に、わたくしは肩の力を抜いて水筒を手する。


「強くなんてありませんわ」

「そう?」

「強くあろうとしているだけですもの」


 香織はわたくしの言葉に微笑むと、ほう……とため息をついた。


「……恋をすると人は変わるって本当なんだね」

「香織?」

「なんて言うか……いい具合に雰囲気が柔らかくなった」

「そうでしょうか?」


 自分ではあまりわからない。

 わからないけれど、その変化が嫌ではなかった。


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