強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
11.お嬢様、執事を引きとめる
その知らせは、あまりにも突然だった。
「……正式に決まりました」
田中が頭を下げながら、淡々と告げる。
応接室には、親族と久保寺家の関係者が集まっていた。
頭の中で、その言葉がぐるぐると巡る。
「何が……ですか?」
わかっていた。
聞きたくないだけだった。
叔父様が手元の書類を開く。
「施設の閉鎖です」
「……」
「土地は売却し、データセンターを建てる。すでに計画もまとまりました」
紙をめくる音がした。
その音だけが、妙に大きく聞こえる。
「そんな……」
わたくしは書類を見る。
所在地。
土地の面積。
売却予定日。
そこには、冷たい文字で「閉鎖」と書かれていた。
「お待ちください」
わたくしは顔を上げた。
声の震えを必死に押し込めて、訴える。
「まだ、正式に決まっていなかったのでは?」
「ええ。昨日までは」